カニ鍋をするときというのは、基本的なだしは昆布でとってするのが一般的です。

しかし、僕はずっと不思議に思っていたことがあります。

それは、「カニの殻からは、鶏がらみたいにだしをとることは出来ないのか」ということでした。

僕は一人鍋が好きで、小さな鍋に食材を入れて、クツクツと煮立てるということをよくやっていたのですが、このときに、この疑問だったことを決行してみました。

カニ1匹の殻を剥き、そのまま鍋の中にいれ、そしてそれを煮立ててだしをとってみたのです。

これは、僕にとっては何かの実験をしているような感覚で、とてもワクワクしていました。

そして、殻を入れたまま、沸騰した鍋に具材を入れ、鍋が完成しました。

「どんな感じかな」と食べてみると、特にかわったところもなく、普通のカニ鍋でした。

「やっぱり、カニの殻ではだしは出ないんだな」と思い、とりあえず、具材をある程度たいらげ、定番の雑炊を作ることにしました。

そのときです。

雑炊ができて一口食べたとき、今まで食べた雑炊より、味が濃いことに気付きました。

どのくらい濃くなったかというようなことは、よくわからないのですが、確かに濃くなっていると感じたのです。

あとでわかったのですが、カニ味噌というものが味を濃くしたのではないかということでした。

が、このことは定かではありません。

でも、今まで以上においしかったです。

よく、魚などでは、アラ煮などというように、あえて棄てるようなところを使った料理というものがありますし、鶏がらやとんこつなどは、ラーメンのスープに使われているとよく聞きます。

でも、カニの殻を使うというのは中々聞いたことがないものです。

僕の実験は大成功でした。

しかし、本来、カニ鍋などでは、カニをそのまま鍋に入れ、調理するころがあるそうですね。

ということは、正に、この実験と同じことをしているということで、何ら珍しいことではないようなのです。

それを知ったときはがっかりしましたが、この実験をしたときというのは、何だか「誰も知らない、僕だけの調理法だ」というような気分でした。

こうやって考えてみると、カニは使わずに棄てるという部分はないんだなと思いましたし、もっと大事にもっと丁寧に殻を剥こうというような食べ方の見直しというようなことが出来たような気がします。

たまには変わったことをしてみたりすることも、色々なことがわかることがあるので、いいものだなと思います。